現代のテクノロジーにおいて、光測定は欠かせない要素となっています。通信業界をはじめ、医療、製造業エンターテイメント業など、さまざまな分野でその技術が活用されています。本記事では、光測定の基本的な概念から業界ごとのニーズに至るまで解説します。
目次
光測定とは?
光測定の基本概念
光測定とは、光を用いる素子、装置あるいはシステムについて、その光学的な特性を評価する技術のことです。光測定は、通信業、製造業、 医療、エンターテイメント業など多岐にわたる分野で活用されています。
光測定の重要性
光測定は、光を用いる素子、装置あるいはシステムの性能評価、品質管理において不可欠な技術となっています。光特性を正確に測定することで、測定対象の性能を向上し信頼性を高めることが可能となります。
また、光測定を効率的に運用するためには、用途に応じた適切な測定手法や測定器を選択することが求められます。
光測定に用いられる主な測定器と測定項目
光源
半導体レーザや光トランスミッタなどの光源には、以下のような光測定が適用されます。
- 光パワーメータ:光強度、電気光変換効率を測定
- 光スペクトルアナライザ:波長ごとの光の強度を解析
- 光波長計:精密な波長を測定
- 光オシロスコープ:光の変調波形を評価
- 光コンポーネントアナライザ:電気変調信号に対する光変調信号の伝達特性を測定
- ビームプロファイラ:レーザ光の伝搬方向と垂直な方向における強度分布を測定
- RIN測定器:光の強度雑音を評価
- 線幅測定器:光のスペクトラム純度を評価
光伝送媒体
光ファイバ、光導波路などの光伝送媒体や光が伝搬する空間については、以下のような光測定が適用されます。
- 光パワーメータ:光損失の波長依存性を測定
- 偏波アナライザ:光の偏波状態を解析
- OTDR(Optical Time-domain Reflectometer): ファイバの損失分布や障害を検出
- 分散アナライザ:光の伝搬速度の波長依存性を測定
- PDL(Polarization Dependent Loss)メータ:光損失の偏波依存性を評価
- LiDAR(Light Detection and Ranging):対象物までの距離を計測
- OCT(Optical Coherence Tomography):光の干渉を用いて対象内部の微細な構造を画像化
受光素子
フォトディテクタや光レシーバなどの受光素子には、いかのような光測定が適用されます。
- ソースメジャーユニット:暗電流や光電気変換効率の波長依存性を測定
- 光コンポーネントアナライザ:光変調信号に対する電気復調信号の伝達特性を測定
- オシロスコープ:電気復調信号の波形を評価
- ビットエラーレートテスタ:電気復調信号の誤り率を測定
【業界別】光測定のニーズ
通信業界
光通信では、安定した伝送を確保し、より通信容量を拡張するために、光源である半導体レーザー、伝送路としての光ファイバや光導波路、受光素子としてのフォトディテクタ、それらを統合した光トランシーバにおいて、開発、製造、運用、保守のすべての段階で、上記の光測定の大多数が用いられています。
製造業
製造業では、レーザー加工機の使用が一般的となり、その制御のためにビームプロファイラなどの光測定が必須となっています。また、製品の品質管理や製造プロセスの最適化に、LiDARなどの光による測長が活用されます。特に、半導体や光学レンズの製造において、光測定は欠かせません。
医療分野
医療分野では、光ファイバを用いた内視鏡やOCTによる診察など、光測定を応用した診断技術が進化しています。
エンターテインメント業界
プロジェクションマッピングやレーザーショーなど、エンターテインメントに用いられる光機器では、視覚的な効果を最大限に引き出すために、ビームプロファイラなどの精密な光測定は重要になっています。
最新の光測定技術
光測定のトレンド
通信、製造、医療、エンターテインメントなど、あらゆる分野で、より広い範囲の光強度、光波長、変調帯域における光測定が求められています。また、デジタルコヒーレント通信、FMCW LiDAR、OCTなど、光の干渉性を積極的に利用した方式では、高度なスペクトラム純度を評価することが必要になっています。
最新の光測定の応用
量子コンピューティング、量子通信の実現には、レーザ光が必須であり、この分野で用いられるレーザ光には精密なビーム制御、強度の安定性、高度なスペクトラム純度などが要求されます。これらの特性を正確かつ高い再現性のもとで測定することが求められています。
SYCATUS製品情報のご紹介
SYCATUSは、通信とセンシングの分野で革新的な光デバイス測定ソリューションを提供しています。
光周波数変調特性を評価「A0070A 光周波数アナライザ」

光周波数アナライザ A0070Aは、光の周波数変調特性を正確に評価するための測定システムです。
リアルタイムで光周波数変調波形を観測でき、光強度変調の影響を受けずに光周波数変調成分を抽出します。測定の事前調整が不要で、レーザー入力後すぐに波形が表示され、高い直線性により広い光周波数偏差に対しても正確な測定ができます。
A0070Aは、FMCW LiDAR用レーザの評価に特化した革新的なシステムです。
レーザーノイズを評価「A0040A 光雑音(線幅)アナライザ」と「A0010A RIN(相対強度ノイズ)測定システム」

光雑音アナライザ A0040Aは、レーザーの光周波数ノイズの測定に特化した測定システムであり、レーザー線幅を光周波数ノイズのパワースペクトル密度として評価する業界初のソリューションです。
OバンドからLバンドまでの広い波長帯域に対応しており、デジタルコヒーレント伝送システムに必要とされるレーザーのホワイトノイズ、1/fノイズ、ローレンツ線幅を解析します。
感度が非常に高く、0.002 Hzのローレンツ線幅の評価が可能です。また、ダイナミックレンジは100 dBを超えるため、ITLAに光周波数ディザを用いている場合でも正しく測定が可能です。
測定の事前調整が不要であり、測定のスループットを高めるとともに優れた確度と再現性を備えています。光周波数雑音をスペクトラムとして評価できるので、デジタルコヒーレント伝送やFMCW LiDARのように、特定の周波数帯域の光周波数雑音の評価に最適です。
さらに、A0070A 光周波数アナライザの機能も統合可能であり、FMCW LiDAR用のレーザーの光変調特性と光周波数雑音特性の評価を1台で実現します。

RIN測定システム A0010Aは、相対強度ノイズの測定に最適なシステムです。
高感度・低ノイズの光レシーバと、Keysight Technologies(キーサイト・テクノロジー)社の高性能Xシリーズシグナルアナライザを使用し、世界最大の50GHzの広い測定帯域幅において、相対強度ノイズのスペクトラムを評価します。
まとめ
光測定は、光ファイバ通信をはじめとする多くの業界で重要な役割を果たしています。
アプリケーションに適した測定器を使用し、必要とされる評価項目を正確に計測することで、より高品質な通信や製造プロセスの最適化が実現できます。
最新の光学計測技術の活用が、各産業における様々な課題解決に貢献し、今後の発展を支えていくことになるでしょう。
お気軽にお問い合わせください。
SYCATUSは、光通信と光センシング分野における測定の先駆者として、20年以上にわたり、測定のためのハードウェアとソフトウェアの統合システムを提供してきました。
これからも、専門性、独自性、正確性を基軸として開発された革新的な光計測技術を、全世界に発信してまいります。
また弊社では、光測定に関する様々な疑問やシステム機器の導入に関するお悩みに対して、専門的なアドバイスを提供しています。
弊社の専門スタッフが、光測定に関するさまざまな問題の解決をお手伝いをさせていただきます。