レーザー光は、私たちの日常生活から最先端の科学技術まで、多岐にわたる分野で重要な役割を果たしています。その中核となる概念が「コヒーレント(coherent)」です。本記事では、コヒーレントの基本的な意味やその特性、レーザー光に関連する用語について、詳しく解説します。
目次
コヒーレントとは何か?
コヒーレントの基本的な意味
「コヒーレント」とは、一貫性や調和の取れた状態を意味します。光学の分野では、波長や位相が揃った光を指し、レーザー光がその代表的な例です。これにより、レーザー光は干渉性、高指向性、高いエネルギー密度といった特徴を持つことができます。


コヒーレントのレベルは、それが用いられる対象により異なります。白熱電球の光に比べれば、どのようなレーザー光もコヒーレントである、と言えます。しかしながら、コヒーレント光の特徴である可干渉性を積極的に用いるアプリケーションでは、レーザー光の中でもより高度のコヒーレント性が要求されます。
コヒーレント光の使用例
コヒーレント光を代表するレーザー光の特性は、多くの実用的な用途に活用されています。
- 医療分野: レーザー手術や皮膚治療に使用される医療用レーザーは、正確なエネルギー制御が可能です。
- 産業分野: レーザー加工機は、金属やプラスチックの高精度な切断や溶接を実現しています。またLiDAR(ライダー)などのセンシング分野に幅広く用いられています。
- 通信技術: 光ファイバー通信において、コヒーレント光が高速かつ安定したデータ伝送を可能にしています。
これらの応用例は、コヒーレント性が技術の発展を支える基盤となっていることを示しています。
コヒーレント光の重要性
科学技術におけるコヒーレント光の役割
レーザー光が持つコヒーレント性は、多くの科学技術において重要な役割を果たします。
- 精密計測: 干渉計やホログラフィーを利用することで、ナノメートル単位の計測が可能です。
- 量子技術: コヒーレント光は、量子通信や量子コンピュータの実現に不可欠な要素です。
- 医学分野: OCT(光干渉断層法)やPDT(光線力学療法)など、レーザー光の利用が医学の進歩に大きく貢献しています。
これらの応用例から、コヒーレント性が科学の発展にどれほど重要であるかが理解できます。
日常生活におけるコヒーレント光の応用
レーザー光は、日常生活でも多くの場面で利用されています。
- 家電製品: Blu-ray(ブルーレイ)プレイヤーやレーザープリンターは、コヒーレント光を活用しています。
- セキュリティ技術: 指紋認証や顔認証におけるレーザー技術は、精度の向上に寄与しています。
- エンターテイメント: ライトショーやプロジェクションマッピングでは、レーザー光の高指向性が活用されています。
これらの例から、レーザー技術が私たちの日常をどれほど支えているかが分かります。
コヒーレントに関連する用語一覧
「コヒーレント」を深く理解するには、関連する用語についても知っておくことが重要です。以下に、主要な関連用語を解説します。
コヒーレンス
「コヒーレンス(coherence)」とは、波や信号が一貫して位相を保つ性質を指します。光学では、干渉性や整合性が計測や通信の正確さを支える重要な概念となります。
コヒーレント光源
「コヒーレント光源(coherent light source)」は、波長や位相が揃った光を生成する装置を指します。レーザーがその典型例であり、以下の特性を備えています。
- 高い指向性: 光が拡散せずに直線的に進む性質。
- 高いエネルギー密度: 効率的なエネルギー利用が可能。
- 干渉性: 精密な加工や計測に有用。
非コヒーレント
「非コヒーレント(incoherent)」は、波長や位相が揃っていない状態を指します。太陽光や白熱電球の光はこの例で、光が拡散し特定の方向性を持たない特徴があります。非コヒーレント光は、特定のターゲットに集光させるのが難しいという特徴があります。
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OバンドからLバンドまでの広い波長帯域に対応します。分解能と感度が非常に高いため、0.002 Hzのローレンツ線幅の評価が可能です。また、ダイナミックレンジは100 dBを超えるため、ITLAに光周波数ディザを用いている場合でも正しく測定が可能です。
デジタルコヒーレント伝送システムの光源に要求されるレーザーの1/fノイズ、ホワイトノイズ、ローレンツ線幅の解析機能を有します。測定の事前調整が不要であり、測定のスループットを高めるとともに優れた確度と再現性を備えています。

まとめ
本記事では、コヒーレントの基本的な意味と、レーザー光との関連性について解説しました。コヒーレントは、医療、通信、産業、日常生活といった幅広い分野で重要な役割を果たしています。
レーザー技術が進化するにつれ、コヒーレントという概念はますます注目されることが予想されます。これを知ることで、私たちの生活に欠かせない技術への理解も深めることができるでしょう。
参考文献
- コヒーレント|ウシオ電機株式会社
- KLV大学 レーザーコース|【図解】レーザーの種類とそれぞれの原理や特性、使われ方を基礎から解説|ケイエルブイ株式会社
- レーザーとは?|株式会社キーエンス
- レーザーダイオード(半導体レーザー)とは?|Tech Web|ローム株式会社
- レーザーとは?|株式会社日本レーザー
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